パンの基本的な原材料は
小麦粉・塩・水・酵母
そこに糖分・油・卵・乳製品などを加えたり
形や大きさ、焼き方をかえて
多種多様のパンを作れるのが楽しみのひとつ
だけど シンプルな配合でも
どんな素材をどう扱うかによって
まったく違ったパンになります
私達が今、ここ北海道で作っている
自家製酵母のパンとは どのようなものか
すこしお話してみたいと思います
【1.酵母を起こす】
1日目
レーズンと水、てん菜糖を清潔なビンに入れ
25℃くらいの室温に置きます
毎日朝晩、フタを開けて揺すり
新鮮な空気を入れ替えてあげます
3日目
ぶどうの野生酵母が 糖分を栄養源に増え
炭酸ガスとアルコール、有機酸が生まれます
しゅわしゅわ アルコールの香りが出てきたら
だいたい1週間くらいで
酵母エキスが完成します
【2.発酵種をつくる】
酵母エキスに小麦粉を継いで発酵させることで
さらに酵母量が増え、よりふっくらと
安定したパン生地になります
20〜25℃で2倍に膨らむまで置きます
冷蔵庫の野菜室(8〜10℃)で一晩休ませ
次は、水と小麦粉を加えて同じように発酵
これを2回くりかえすと
発酵種は丸2日かかって完成します
季節、温度湿度、時間、材料
空間や作り手の状態など
いろいろな条件下で酵母菌は変化します
同じはずなのにどうして? と、
発酵がうまくいかないことは何度もありました
今でも解らないことだらけですが…
甘くフルーティーないい香りがしていれば
種が元気いっぱいに育っているということ!
種がよければ、
その後の工程がちょっとうまくいかなくても
たいてい美味しいパンになるのです
【3.パンの生地をこねる】
いよいよパン生地の仕込みに入ります
先ほどの発酵種、強力粉、塩、てん菜糖、水
米油、粉末水飴、麦芽シロップ、蜂蜜など
種類によって配合を変えます
発酵種の様子や、粉の性質や、温度湿度、
その時々に違いがあり
ちょうどよくなるよう微調整します
パンは生きものとよくいいますが…
同じレシピでも 同じようにはならない
毎回、失敗や学びや発見があるのが
難しいところであり、面白みでもあります
店舗が出来たら業務用ミキサーを導入しますが
今は手ごねなので、だんなさんと分担して
30分〜1時間ひたすらこねて
2キロ弱の生地が出来あがります
【4.発酵させて焼く】
25℃以上にならない室温に置いて
7〜8時間
カンパーニュは低温で15時間以上
ゆっくり発酵させます
その間に、粉に水分がしっかり浸透して
モッチリとした食感に…!
そして、さまざまな酵母菌が活性化
豊かな風味と旨みがうまれます
短時間で焼けるイーストも悪くありませんが、
私は 地味な下ごしらえ作業が好きで
さらにとてものんびりなので
ペースが合っている
この自家製酵母のパンが好きです
2〜2.5倍に膨らみました!
分割して、少し休ませてから成形
最終発酵は30℃くらいで約1時間
トッピングや切り込みをいれてから
熱いオーブンに蒸気を加えて焼きあげます
220℃〜180℃
同じ生地でも、焼き方によって
皮が香ばしいハード系になったり
しっとりやわらか食感になったり
まったく変わったパンになります
【5.パンを食べる】
天然酵母できちんと発酵させて焼いたパンは、
雑菌を寄せつけずカビにくいといわれます
ラップに包んで密封袋に入れて乾燥を防ぎ
冷暗所で保存すれば
3日間くらいおいしさ長持ちします
カンパーニュは1週間近く
実際もっと日持ちはするのですが
水分がとんで硬くなると食べにくくなります
そうなったら…
パンに水を吹きかけてから
アルミホイルに包んで
予熱したトースターで軽く温めると
ふっくら!
カリッ!がお好みなら、ホイル無しで
おいしく食べられます
体が元気になって
心もちょっと明るくなる
パンのある暮らしは
あたたかいものですね